Kaskasi II 洋上風力基礎工事完了 -CAPE Holland社 バイブロ実績

本プロジェクトの基礎工事としては、当初、38本のモノパイル(重量:755t、杭長:65m、板厚80mm、杭径:6.0-6.5m)をSeaway 7社保有のダイナミックポジショニングシステム(DP3)付きクレーン船Seaway Strashnovにより2021年9月から施工される予定となっておりました。

CAPE社バイブロハンマー(Triple CV-640 VLT-U)を用いてこれらのほとんどのモノパイルは最終打設深さにまで打設される計画となっており、数本のみ油圧打撃ハンマーで最終打設を行い、計算上の海底地盤耐力と実地のける計測値の数値の比較が行われる予定となっておりました。

しかしながら、施工開始直前のタイミングでモノパイル下端にコンクリートのカラー(collar)を追加を設けることをプロジェクトオーナーであるRWE社が決断されました。(水中でコンクリートの膨張がおこることにより、より大きな地盤耐力を確保することを狙ったものとなります。)

同コンクリートのカラーがモノパイル下端に追設されたことは打設性能に影響し、CAPE社バイブロで最終深さまで打設しようとすると三連結で納められていたCV-640を4連結に増設する必要がございましたが同セットアップの準備をする時間がなく、結果として残念ながらCAPE社バイブロ(Triple CV-640 VLT-U)では最終打設深さにまで打設することは不可能となってしまいました。

同状況から、Seaway 7社が保有するIHC社油圧打撃ハンマーで最終打設が行われることとなりました。しかしながら、(バイブロ打設の場合には不要ですが)油圧打撃ハンマーでの打設が行われる場合には消音設備を備えることが要求され、同消音設備を別途製造手配する必要が出てしまった為、結果として本プロジェクトの施工に遅れが出てしまい、2022年3月に2週間ほどかけてSeaway 7社による基礎工事が行われました。結果として、本プロジェクトにおけるSeaway 7社による(CAPE社バイブロハンマーを用いた)モノパイル基礎施工は7本のみということとなってしまいました。(Seaway 7社 は別案件:Holland Kust Zuid Offshore Wind Farmの工事にかかる必要があったため。)

Kaskasi IIプロジェクトにおける残りの基礎工事はDEME Offshore社が2基のジャッキアップ船で施工される契約となりましたが、同2基のジャッキアップ船ではCAPE社バイブロによる打設を検討・準備いただけていなかったため、IHC社油圧打撃ハンマーのみでの基礎施工が行われることとなりました。

下の動画ではSeaway Strashnov上で、CAPE社バイブロによって水平状態のモノパイルを掴んで建て起こす様子から打込みまで行っている様子が見られますが、同時に同船上のパイルグリッパーで打ち込み前にモノパイルを掴んでいる様子も見られます。本プロジェクトでは同パイルグリッパーの作動も試験されており動画は同試験中の様子のものですが、7本のほとんどのモノパイルは本船のダイナミックポジショニングシステムとCAPE社バイブロのみで、パイルグリッパーは使用されずに打込みが行われました。

結果的に、本プロジェクトでは当初の予定の様にCAPE Holland社バイブロハンマー(Triple CV-640 VLT-U)だけで最終打設深さにまでのモノパイル打込みに使用されなかったことは残念ではございますが、計算通りにより深い位置にまで同バイブロハンマーによるモノパイル打込みは達成され、無事成功裏に本プロジェクトは完了いたしました。また、プロジェクトオーナーであるRWE社におかれましても同社将来案件においてCAPE社バイブロハンマーは最終打設深さにまで施工可能なツールとしてご認識いただけております。